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請求書があっても請求できなくなる消滅時効とは

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債権回収で問題となりやすいのが「消滅時効」です。「消滅時効」とは、一定期間、権利を行使しないことにより、その権利が消滅してしまうという制度です。

 

消滅時効が認められている背景に、「権利の上に眠る者は保護に値しない」という考えがあります。要は、「権利の行使はいつでもできたのに、それを怠ったのだから権利を失っても仕方がない」ということです。また、取引の安定性の確保、証拠の散逸等の対応といった要請も、時効制度の根拠として挙げられます。

 

日本の民法によると、従来は、一般的な債権の場合だと10年間権利を行使しないと消滅してしまうとされていました(旧民法167条1項)。しかし近年、民法が大幅に改正し、2020年(令和2年)4月1日からは、
・債権者が権利を行使することができることを知ったときから「5年」
・権利を行使することができるときから「10年」

 

のうち、いずれか早い方が消滅時効期間となりました(改正民法166条1項)。また、民法改正に伴って商事消滅時効の規定(旧商法522条)も削除されたため、商行為によって生じた債権も上記民法の規定に従うことになります。

 

上記の「債権者が権利を行使することができることを知ったとき」について具体的に見ていきましょう。これは、契約に基づいて発生した債権の場合は、契約で定められた支払期日などの「債務の履行期日」を意味します。契約により発生する債権の場合、契約当事者は「権利行使できるとき」を契約で定めています。契約の当事者はいつから権利行使できるかを知っていることになるため、支払期日から5年間で消滅時効にかかると考えればよいでしょう(厳密に言えば、民法には「初日不算入の原則」(民法140条)があるため、支払期日の翌日からカウントが開始する)。

 

また、たとえ債権者が権利行使ができるときを知らない場合でも、「権利を行使することができるとき」から10年で消滅時効にかかることに注意しましょう。「権利を行使することができるとき」とは、権利行使を妨げる法律上の障害がなくなったときを意味します。

 

なお、消滅時効についての改正民法の規定は前記の通り、2020年4月1日以降に適用されます。2020年4月1日よりも前に、①債権が生じた場合や、②その発生原因である法律行為がされた場合は、旧民法の規定が適用されることに注意しましょう(民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)附則10条1項・4項)。

 

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